昨日は、慶應義塾大学ビジネススクール(KBS)の「経営法学」にゲストTAとして参加しました。今回は、漫画のドラマ化を巡って、出版社の編集長と放送局のプロデューサが交渉するというロールプレイをしながら、著作権法も習得するというものです。
演習ケースですから当然、両者の意向が相容れない「仕掛け」もあります。実際の交渉でも、しばしば見かける状態です。
こんなとき価格交渉のように「では間をとって」なんてできるならばいいですが、オール・オア・ナッシング、ウイン-ルーズのガチンコ構図になってしまうとお互い譲ることができません。また、持ち帰り検討にしても結局、「これ以外はダメ」なんてこともあります。
そんなとき、お互いの対立は何であるかを明らかにした状態で、クリエイティブ・オプション(創造的選択肢)を出していくという解決策があります。お互いのミッションを共有した上で、そのミッションを達成できるような代替案を交渉相手ともにブレインストーミングしていくのです。
今回の模擬交渉でも、ある受講生の方から「この対立はどうにかならないか?」と聞かれたので、クリエイティブ・オプションの考え方を伝えたら、ものの数分のうちに交渉相手との関係は良好になり、よい形での交渉成立が得られました。ほんの一言で、そこまでできてしまうのは、さすが日本最古のビジネススクールの塾生です。
以前に、他社から転職してきた開発畑の人に「実施料支払いの代わりに(侵害警告してきている)あの会社の余剰人員を受け入れるって交渉はどうだい。中には俺みたいなのがいるかもしれねえぞ。」と冗談とも本気ともつかぬことを言われたことがあります。本番の交渉でも、このようなクリエイティブ・オプションを発想できるようになりたいものです。