ルールの交渉

今週は月曜日、火曜日と交渉学のTAが続きました。両日ともTAとして参加した私にとっても、学ぶべきものが多くありました。

今回の模擬交渉後のリフレクションで出てきたキーワードに、「ルールの交渉」というのがありました。
「ルールの交渉」は、主に契約の条件交渉の場面で出てくるのですが、不測の事態が発生したときや、所期の目標を達成できなかった場合のプロセスを予め決めて、契約書の文言に盛り込もうというものです。

不測の事態が発生した場合、至急の対応が必要であるのにもかかわらず、事態の収拾を焦る当事者双方で「お前が悪い」「言った」「言わない」の水掛け論になる傾向があります。これでは、ますます事態が悪化の方向に進むのは目に見えております。

そこで、責任の所在を追及するのはひとまず後にして、問題解決プロセスで決められた役割を、当事者それぞれが粛々と取り組めるようにするべく、契約当事者の誰が、どのような責任分野で事態の収拾に取り組むのかを明文化していきます。
一般的な契約書ならば「両者誠意を持って協議する」の一文で片付いているものを、1ページぐらいに具体化していくようにするわけです。また、定期的にその内容を見直すことも取り決めておきます。

こうしておけば、ひとたび事が起こったときでも、「ここは契約に従って、事実関係の収集を、、」という具合に、双方が衝突することを回避できるのだそうです。

残念ながら、私が在職している間では、このような契約書を目にしたことがありませんでしたが、そもそも契約書とは、当事者双方が袂(たもと)を分かつ事態に陥ったときにこそ拠り所となるものなので、望ましくないことが起こった場合のあれこれを、双方の関係が良好なうちに決めてしまうというのは極めて合理的といえます。
しかし、起こってもないことについて、どちらがどのような責任を背負うということまで決めていると、いつまでたっても契約書にはならないので、プロセスやルールだけは決めておこうというのは、成る程と感じました。

元請け会社と締結した契約書をひな型にして、業務委託契約や売買契約を締結している中小企業経営者の方も多いのではないかと思いますが、「不測の事態が起こったときの備え」としてルールの交渉をしてみてはいかがでしょうか?

事業規模が小さく、関係が良好な今のタイミングだからこそ、話し合うことができることもあるのではないでしょうか。

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