金沢工業大学大学院(虎ノ門)非常勤講師

4月1日付けでタケモトが金沢工業大学大学院知的創造システム専攻(虎ノ門)の非常勤講師に任命されました。
担当科目は3期の交渉学要論と4期の国際交渉特論です。2009年から続けてこられた一色正彦先生、高槻亮輔先生、隅田浩司先生との共同講師として登壇致します。
学習者の一人として受講生の皆様とよき学びを共有していきたいと思います。

金沢工業大学大学院「交渉学要論」
http://www.kanazawa-it.ac.jp/tokyo/ip/subject/s_riskmanagement.htm
金沢工業大学大学院「国際交渉特論」
http://www.kanazawa-it.ac.jp/tokyo/ip/subject/s_riskmanagement2.htm

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知的財産管理技能士センター交流会(2月16日)

来る2月16日、知的財産管理技能士センター交流会が大阪で開催されます。タケモトが同センター交流委員長に就任して初めての交流会となります。IP技能士資格をお持ちの方の多数参加をお待ちしております!

今回の技能士交流会は、これまでとは趣向を変えて交渉学セミナーを併催することにしました。セミナーで同じ体験をした後、技能士同士がセミナーを振り返りながら学びと交流を深めるという趣旨です。異業種交流会の如き集まりは、回数を重ねるごとに参加人数は減っていき、いつしか常連メンバーだけの会合になっている場合も少なくありません。そこに「学び」という共通体験を取り入れることで、参加モチベーションを高めることができ、交流会が新陳代謝をしながら継続できると考えました。

僭越ながら、セミナー講師も務めさせていただくことになりました。今回の交流会は、交渉学を取り入れると決まっていたところにたまたま、講師経験のあるタケモトが交流委員に応募してきたという偶然(必然?)の産物でしたが、技能士が自身の得意分野での講師を買って出るという風土が根付いてくれればと思っています。

(以下、技能士センター公知ページより引用)
技能士センターの告知ページはこちら

【第8回交流会[2013年2月16日(土)実施]】
今回は、「関西発の学習交流会イベント」として、交渉学を学びながらIP技能士同士の交流を図る新しいスタイルの交流会「学習交流会」を開催いたします。

~交流委員会からのコメント~
関西在住の技能士が教え、学び、交流を深めながら、スキル向上を目指す学習交流会を企画いたしました。

本学習交流会の第1部は、東京で特別研修として開催し、大人気となった交渉学研修の導入編です。
米国ハーバード大学交渉学研究所の研究に基づき、東京大学・慶応義塾大学で日本人向けに開発された交渉力の育成プログラムをご紹介します。育成プログラム では効果的学習方法として模擬交渉が採用されていいますが、ここでは、TA(ティーチングアシスタント:交渉学を学び、実践するビジネスパーソン)による 模擬交渉のデモンストレーションと受講者による体験交渉を行います。

模擬交渉のテーマは「タイガース照明を巡る交渉」で、関西人の心の琴線に触れること間違いなしです。
最後に、交渉力や交渉リーダーの育成などを積極的に行っている先進企業と、本学習交流会開催にご協力いただいている関西交渉学学習コミュニティの取り組み事例をご紹介します。
第2部では、参加者同士で学習内容を振り返りながら、参加者相互の交流を深めることができます。
全国からの参加者をお待ちしております!

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あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になりました。本年も成長目指してより一層の努力をしてまいります。
よろしくお願い致します。

昨年の日本産業界は、大企業の業績不振など、あまり明るい話題を目にすることはありませんでしたが、京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞し、少しずつですが東日本大震災の被災地での産業復興が進むなど、未来への希望を持つことのできる一年でした。
また、知財業界ではスマートフォンの大型特許侵害訴訟の評決が下る一方で特許無効の判決が下るなど、知財戦略の重要性を身近に感じる事件も多くありました。

創業1年目のたかおIPワークスは、決して順風満帆の船出とはいきませんでしたが、どうにか沈没することなく、沢山の方に助けられながら乗り切ることができました。知的財産管理技能士1級(特許専門業務)と知的財産アナリストの資格取得も叶い、土台作りを進めることができました。
創業2年目に入り、活動の幅をより広げるとともにお客様の要求にはしっかり応え、常に「事業に勝つための知財活動」を支えていきたいと思います。
今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

平成25年元旦
たかおIPワークス 代表 竹本和広

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課長塾第5期「マネジャーのための交渉力」共同講師

来る5月25日、日経ビジネスオンライン実践講座「課長塾」第5期 第4回「マネジャーのための交渉力~交渉学研究に基づく、成功確率を上げるための方法論を学ぶ~」の共同講師を担当致します。
当サイトでも紹介しているマップ化方法論を取り入れた、俯瞰的思考による交渉の設計を講義予定です。

【講座内容紹介】日経ビジネスオンラインウェブサイトより引用
交渉力は、ビジネスパーソンの基本能力であり、マネジャーにとって、顧客との交渉のみならず、社内交渉や部下との交渉においても、必須の能力である。ところが「最初に高めの条件を提案して、相手の出方を見てから対応すればよい」、「経験すれば身に付くものであり、学習するようなものではない」等の誤解が多い分野でもある。

本講座では、交渉学を研究し、活用する実務家講師が、米国ハーバード大学の交渉学研究に基づき、東京大学において、日本企業や慶応義塾大学の協力を得て、日本人向けに開発された学習プログラムを用いて、実践的に交渉力を習得できるセミナーを実施する。このプログラムにより、交渉で何を実現するか(ミッション)、最高と最低の二段構えの目標設定(ゾーパ)、最低目標を下回った場合の代替案(バトナ)に基づく「共通のフレームワーク」を理解し、情報を引き出すためのコミュニケーション力等、交渉の成功確率を上げるための必要な方法論を身に付けることができる。

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時事報道をマップ化する(サトウの切餅訴訟)

今回も時事報道をマップ化してみました。

「切り餅を形崩れしないように焼き上げる切り込みの特許権を侵害されたとして、業界2位の越後製菓(新潟県長岡市)が、業界1位の佐藤食品工業(新潟市)に「サトウの切り餅 パリッとスリット」など5商品の製造差し止めや59億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁の飯村敏明裁判長は22日、製造禁止と約8億円の賠償を命じた。判決確定前でも強制執行が可能になる仮執行も認め、製造装置の廃棄も命じた。」(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120322/trl12032216030003-n1.htm

この訴訟、昨年9月には佐藤食品工業の特許権侵害を認める中間判決が出され、和解交渉が進められていたようですが、交渉は決裂し、佐藤食品工業には厳しい判決となりました。

判決文と原被告両社のウェブサイトから情報を集めて、1枚のマップにしたのが下記です。同じ新潟県で創業し、創業時期も同時期、ともに成長してきた2社が争っています。

画像をクリックして拡大

原告の越後食品(以下、越後)は、訴訟の対象となった特許を、包装餅シェア3位のきむら食品には実施料率0.4%でライセンスしている一方、佐藤食品工業(以下、サトウ)には実施料率4%を要求していたようです。
越後はサトウへはライセンスしないで、サイドスリット入り切餅を独占するものだと思っていましたので、実施料率の交渉をしていたとは意外でした。とはいえ、市場から排除するに等しい、高い実施料率だったのかもしれません。

両社の特許ポートフォリオは対照的でした。越後は高圧加工食品をメインに44件の特許を保有し、毎年十数件の特許出願を継続しています。一方のサトウは6件の特許しか保有しておらず、越後に対する脅威とはなりにくい状況です。

このマップだけでは、越後のコンテキストは推定が非常に難しいです。強いて挙げるならば、流通業者のプライベートブランド獲りがあったと推定できます。納入価格4%のハンディは、かなり越後に有利となるでしょう。実際、セブン&アイの包装切餅は越後製で、売上は数億円に上ると推定できます。
ところが、スーパーの陳列棚の大部分を占めているのはやはり、サイドスリットのなくなった(上記特許権を侵害しない)サトウの切餅です。こうして見る限り、越後は特許で勝ったが事業では勝てなかったと推定せざるをえません。

リッチピクチャ―は「今の状況」を表すには非常に効果的な手法ですが、時系列の反映は苦手です。そこで、時系列マップで経時の情報を補うことにしました。両社の沿革を時系列マップにしたのが下記です。

両社を並べた時系列マップ

時系列マップを参照する限り、無菌包装切餅パックも個別包装切餅もパックごはんも、ことごとくサトウが先行し、越後が追随する形で発売しています。「餅そのものを変えることはできないので、包装の工夫で消費者に訴求していく」とはサトウの佐藤功社長(当時)の弁です。特許こそ出願していませんが、イノベーションを切り拓いてきたという自負がサトウにあったはずです。そしてスーパーの陳列棚はサトウに独占され、越後としては何とか一一矢報いたいと思っていたことでしょう。長年にわたる両社の関係が本件訴訟に影響している可能性はありそうです。

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【セミナーレポート】八王子商工会議所 交渉学セミナー

去る2012年2月3日に、八王子商工会議所 中小企業相談所主催の交渉学セミナーが開催されました。
とても寒い日でしたが、30名を越える多数の方に参加いただきました。参加の動機は、交渉学に興味を持たれたり、日常の交渉で課題を持たれたりとさまざまですが、とても熱心に講義と模擬交渉に参加いただけました。

第1部は一色先生の講義。交渉学が生まれた背景をドラマチックに語り、受講者の皆さんを引き込んでいきます。
そして時折、我々ティーチングアシスタント(TA)に質問を投げ掛け、TAは阿吽の呼吸で伝えるべきポイントを話します。ちなみにこのやりとり、事前の打ち合わせ等は一切なしで、毎回質問も答えも違います。

一色先生の講義に引き込まれていきます

続いて第2部の模擬交渉へと移ります。今回はブランド時計の売買交渉を1対1で行います。割り当てられた交渉役に分かれて、それぞれに独自の背景情報が与えられます。わずかな時間のうちに受講者の皆さんは、背景情報の書かれたシートを読み込まなければなりません。
そこで登場するのが交渉準備マップ。マップ作成の方法論、メリットなどをタケモトが講義いたしました。これからも、「交渉を設計するためのツール」として交渉準備マップを普及させていきたいと思います。

模擬交渉の前に、TAによる模擬交渉のデモが約10分間行われます。いきなり価格交渉を始めるのかと思いきや、来訪の目的やショップの特徴を話し合い、受講者の皆さんは唖然とします。
そしてデモ終了後、ここまでのやり取りは全て、後半の条件交渉へのフックであることが、一色先生から解説されます。このとき、皆さんの目の色が変わりました。相手のコンテキストを知るということに気付いた瞬間でした。続く模擬交渉ではそこここで熱い交渉が繰り広げられました。

模擬交渉デモを行うタケモト(左)と佐藤さん(右)

模擬交渉を終えて、感想戦と呼ばれる、相手の背景情報を見て、模擬交渉を振り返ります。交渉結果は千差万別ですが、どの対戦グループからも「そうだったのか、それなら・・・」といった声が聞こえてきました。

そして第3部、先進企業での交渉学への取り組みが紹介され、昂揚した雰囲気でセミナーは幕を閉じました。

参加された皆様からは「大変有意義だった」「よりハイレベルのものを受講したい」といった感想を多数いただいております。
継続学習を希望されている皆様のためにもぜひ、第2弾、第3弾を地元八王子で仕掛けていきたいと思います。

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小説をマップ化する(下町ロケット)

1月7日に(株)構造計画研究所で行われました交渉学交流研修会にマップ作成論の講師として参加しました。いままでの交渉学講義で行っていたマップ作成セッションの内容を充実させ、新作マップも取り入れて紹介させていただきました。

当日は建築設計に携わる方の参加が多く、日常的に絵を描く機会は多いそうですが、それらの絵を使って考え、コミュニケーションすることの有効性に気付きが得られたようでした。続く模擬交渉準備でも、全員が交渉準備マップを作成され、初心者とは思えない程の、非常にレベルの高い模擬交渉を展開されていたのが印象的でした。

講義の中で、マップ作成のトレーニングの例として、テレビドラマや時事報道等をマップ化することを提示したのですが、今回はその実例として池井戸潤氏の直木賞受賞作「下町ロケット」をマップ化してみました。1月6日には三上博主演の連続ドラマW 下町ロケット [DVD]も発売されましたので、DVDでも楽しむことができます。ネタバレが多分にあるので、読むのを楽しみにしている方はマップの詳細はご覧にならないように。

下町ロケットの主人公である佃製作所は、絵に描いたような見事な知財戦略で事業を好転させたのですが、従業員一人一人の「事業で勝つ」という強い意志に心打たれました。八王子からも、佃製作所のような中小企業を続々と出現させられるといいなと思います。

今回作成したマップは、読者目線でありながら佃航平氏を中心に描いてみましたが、佃航平氏目線や神谷弁護士目線で描いてみるのも面白いかもしれませんね。

原作とドラマ版との違いはマップを見ると一目瞭然

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新年のご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます
皆様の健康とご多幸をお祈りいたします

本年もどうぞよろしくお願いいたします
平成24年 元旦
昨年、皆様に支えられながら小さな産声を上げた たかおIPワークスは、初めての新年を迎えました。ありがとうございます。
地元八王子は穏やかな新年を迎えることができましたが、当社に明るい陽が差すのは、まだまだ先のようです。
昨年は、悲しいニュースに触れる中で、人と人の絆が生み出す大きな力に心を打たれました。
私も持ち前の明るい心と知的財産マインドで、皆様の前に立ちはだかる闇を、藪を、明るく照らしていきたいと思います。

創業1年目の今年は、「皆様の役に立つたかおIPワークス」の周知を図るとともに、お客様のニーズを徹底的に吸収していく所存です。
どんなささいなことでも結構ですので、皆様のご意見をお聞かせください。

たかおIPワークス
代表 竹本和広

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手描きマップ4つのメリット

 お見苦しいかもしれませんが、当サイトに使用しているマップは、できる限り手描きのものを使用しています。
 絵心もなく、字も汚いので、本来ならパワーポイント等のプレゼンテーションソフトで清書したものをお見せするのがビジネスマンの基本なのでしょうが、手描きマップならではの方法論を究めようとしているタケモトとしましては、できるだけ多くの手描きマップの作例を紹介していきたいと思っています。

 では、なぜ手描き?かというと、少なくとも下記の4つのメリットがあると考えています。

1.長期記憶への定着化が早い
 他者からの情報は、文書を読むことによる視覚的認知あるいは、口頭による聴覚的認知により脳内の短期記憶に取り込まれます。
 もしここで、意図的な記憶に努めなければ、数時間のうちに情報は記憶から薄れてしまいます。
 ここで、手描きマップを作成することで、①情報の要約、②情報の分類、③情報のイメージ化、④手を動かすことによる運動野との連動、が行われることで、脳内の記憶回路を何度も情報が循環し、長期記憶への定着が促進されます。
 さらに、自分でマップを描いたということ自体がエピソードとなり、エピソード記憶としての長期記憶も行われます。
 また、論理的な左脳と、統合的な右脳との協働が行われるとも言われています。

2.連想能力が喚起される
 「ザ・マインドマップ」の著者であるトニー・ブザン氏も述べていることですが、マップを作り上げるという体験に脳が活性化し、長期記憶に定着した情報を基にした連想能力が喚起され、アイデアが出やすくなります。

3.ルールに縛られない表現手法
 プレゼンテーションソフトはとても便利です。以前に作成したマップの使い回しもできるので、効率的です。
 しかし「この隙間にあと5文字入れたい!」と思っても、ソフトの制約で4文字しか入らなかったり、フォントを変更する手間で、クリエイティブな作業に水を差されることもしばしばです。
 それに引き換え手描きマップでは、隙間に小さい字で書きこむのも、引き出し線で欄外にコメントするのも自由自在です。

4.作業場所を選ばない
 交渉場所に向かうタクシーの中や、トイレの中、喫煙所でリラックス中、いつでもどこでも、紙とペンさえあれば、手描きマップを描き始めることができます。

 あともう一つ、清書された均質な線で描かれたマップより、少しブレながらも手描きのほうが、味があっていいと思いませんか?
 

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マップオタク誕生秘話

 今回は、なぜ私がここまで交渉準備マップ作成にのめりこむようになったのかを紹介したいと思います。

 プロフィールにあるように、私はメーカーの特許部に配属されました。特許部業務の大きなウェイトを占めているのが、特許の出願・権利化業務ですが、この業務で非常に重要なのが、特許の権利範囲を定める書面である「特許請求の範囲」が、キチンと書かれているかをチェックする、プルーフリーディングや草案チェックと呼ばれる作業です。

 数十行から、ときには数ページもわたって書かれた文書が、果たして意図した発明を正しく表しているかを確認するのに、字面だけを追っていたら、途端に眠くなってしまいます。マーカーペンは必携ですが、なかなか頭に入りにくい場合もあります。

 そんなとき、先輩から教わったのが」手で読む」手法です。それは、特許請求の範囲の文書だけを読んで、ポンチ絵を描きます。そして、描き上げたポンチ絵と、チェックした特許に添付された図面や詳細な説明とを突き合わせて、違いがなければOK、そうでなければどこか修正が必要、と判断していくのです。

 特許請求の範囲から描いたポンチ絵は、特許図面とは全く違うものだったり、ポンチ絵が描ける文章になっていなかったりと、私には大変面白かったのです。それ以来、目を通す特許は必ずといっていいほど、ペンを片手にポンチ絵を描くようになっていました。

 習慣というのは恐ろしいもので、やがて、特許だけではなく、世の中にある長文を読むと勝手に手が動いてポンチ絵やマップを描くようになっていました。
 おかげで、情報処理技術者試験や知的財産管理技能士検定で出題される事例問題では、事実関係を把握するのに役立ったというおまけ付きです。
 ちなみに、弁理士試験でもポンチ絵を描いて考えていたのですが、それでは問題数に追い付かず、時間切れでした。

 KIT(金沢工業大学大学院)で交渉学と出会い、模擬交渉ケースを検討するときにも、広告やカレンダーの裏にポンチ絵を描いていました。一度絵に描くと、文字で書かれていた内容がポンチ絵の状態で頭の中に入り、交渉途中で情報シートを見る必要がなくなるからでした。

 田村先生、一色先生、隅田先生の著書「交渉学入門」(旧版)にも、交渉のプロたちが、交渉前にマップを見ながら作戦会議するくだりがあり、それなら、と提出レポートに交渉準備マップとしてポンチ絵も添付しました。すると、先生から「手描きのイラストが味があっていい」と好評価をいただいたのでした。
 実際、マップを見ていると、相手への質問やクリエイティブオプションがそここことわき出て来るので、原則立脚型交渉には、この交渉準備マップはうってつけだったのです。

 それ以来、調子に乗って交渉準備マップを描き続けるようになっているのです。

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